―技術の営みの教養基礎―技術の知と倫理
あらすじ/作品情報
【内容紹介】 本書は、技術者倫理だけでなく社会人・技術者になる準備のための教科書です。そして皆さんが社会人・技術者として羽ばたいていく世界、とりわけ日本社会は、今まさに大きな曲がり角に差し掛かっています。その行く末は、私たち一人ひとりの創造的な活動と判断にかかっているでしょう。ここではまず、私たちが生きていく現在を戦後の歴史の中で確認することから始めましょう。(「はじめに」より抜粋)【著者紹介】比屋根 均(ひやごん ひとし)1962年大阪生まれ。1990年東京大学大学院工学系研究科修士課程修了(金属材料)。大同特殊鋼株式会社入社、主に鋼材製造部門、プラント部門、開発、品質等マネジメントシステム部門担当。2000年技術士一次試験合格、技術士補(環境部門)、(社)日本技術士会準会員B。2003年技術士二次試験合格、技術士(総合技術監理部門/衛生工学部門)(社)日本技術士会正会員。2005年(社)日本技術士会中部支部ETの会(技術者倫理研究会)創設に参加。【目次】はじめに1章 ガイダンス~社会人生活への準備を始めよう~1.1 有意義な学生時代のために1.2 “ミス”の重み1.3 問題が不明確なのは誰のせい?1.4 自分だけでできないのが技術1.5 本書の狙いと講義の進め方2章 技術者倫理の目的~技術者に求められる倫理とは?~2.1 何を“非倫理的”と感じるか?2.2 技術の最先端は試行錯誤2.3 技術者がしていること3章 よりよい試行錯誤~実用的な専門知識とは?~3.1 試行錯誤~枚挙的帰納法3.2 枚挙的帰納法と集団思考3.3 技術者の専門能力3.4 技術的逸脱とその標準化3.5 優れた技術者の条件4章 科学・技術の中の知識~その知識は本当に正しいか?~4.1 技術の誤り~事例4.2 推論の不確かさ4.3 知識の正しさと成立条件4.4 科学的知識の正しさと限界5章 技術知の戦略~不確実さとの付き合い方~5.1 科学の知と技術の知5.2 間違い最少の戦略5.3 漸進戦略~実害最少の戦略(1)5.4 失敗・実害への対処~実害最少の戦略(2)6章 組織における技術知と情報~情報伝達の難しさ~6.1 事故に繋がったミスの事例6.2 技術と情報6.3 組織的な技術活動7章 安全の理論~危険なモノを扱う技術の方法論~7.1 深層防護の失敗とスイスチーズ・モデル7.2 安全の理論7.3 リスクアセスメント7.4 安全への早期是正戦略7.5 安全の妥当性確認~ハインリッヒの法則8章 事実と価値~正しい判断の条件~8.1 説得8.2 客観的評価を誤らせるもの8.3 独善の落とし穴9章 技術の専門職という立場~技術者の生きる世界~9.1 人間関係の中の技術者9.2 同業者への悪影響10 章 誠実な仕事~どこに価値の基準をおくべきか~10.1 誠実性~技術的良心に従う10.2 他者との関わり10.3 公衆優先原則11 章 義務と同意・説明責任~人工物環境を変える行為者の責任~11.1 対人での倫理11.2 同意の効力11.3 説明責任12 章 気持ちに寄り添う~透明性の確保、安心、技術と法~12.1 倫理性の諸テスト12.2 他者の立場になって評価する難しさ12.3 透明性12.4 倫理と法の関係13 章 倫理問題の解決~倫理問題の性質と構造~13.1 争点13.2 倫理問題の構造13.3 倫理問題の解決13.4 倫理的行動の確実な実行14 章 現代的な課題~情報倫理・環境倫理・生命倫理~14.1 高度科学技術社会の三つの問題領域14.2 高度情報化社会(デジタル・ネットワーク社会)の諸問題14.3 有限な地球にまつわる諸問題14.4 生命倫理15 章 技術専門知の役割~専門性の役割と限界の自覚~15.1 真善美と美徳・役割責任15.2 専門家の二つの役割15.3 リスク社会と技術者の役割15.4 社会の中でのアクションおわりに~社会の中で生きていくこと<資料集>